「曲がったことが嫌いだからパーマはかけないの」とテレビの向こうあの娘は笑う。
厚手のカーディガンを着て汗をかいてしまう僕の季節が、
「繰り返しはしないか」と庭先で踊る。
蜂は蜜を集め、熊は支度を始める。
わらの上で寝てしまった子羊が今目を覚ました。
恐竜がいた時代の植物の化石を見つけたんだと電話がある。
ジュラ紀だろうと決め付けて切る。
どこかの州のプライドの高いチキンを頬張って
慌てた油に水をさす。
「一人じゃなにも出来ないんだから」
遅れて来た夕食の便りに
「チキンを買って食べたよ」と告げると
「私の分は?」と怒られてしまった。
今日は沢山呼吸した。
沢山吐いて
沢山吸った。
お札を一枚手にとって
買って来ますと僕は笑う。
手を繋いで駅前の道を横切る。
夏にさよならを言ってなかったことを思い出し
二人は手を振り「またね」と言う。
すっかり秋を吸い込んでしまう。