2015年 03月 31日
鉄のフライパン
必ずご使用前に空焚きを行ってください。

説明書を読みながら失敗したかもってもう思い始めてた。
一生モノだとか聞いたのに。

前にテレビで見たんだ。
味が違うって、お肉が美味しくなるって。
その時はそれで忘れていたんだけど、急に思い出して買ってしまった。

なんで別れたの、もったいない。
話すとみんながみんなそう言った。
自分でもそうだろうなって思う。
イケメンで目立たなくて良い匂いのする男。若くて。

滑り始めると直ぐに勢いがついて、
雪の上をただ滑って行くような数日だった。最後は。
掛け違えたボタンは一度脱げばやり直しが効くよ。
あの男はそう言うと体を求めてきた。

将来だとか運命だとか、私にはまだ想像がつかない。
絵を描いて、色を塗って、そうやって私は生きているつもりだ。
それなのに完成が見えてこないのは、私のキャンバスが狭くなって来ているからだろうか。

「ズボラなあなた必見、お手入れ不要で一生使える鉄フライパン」
ページを捲りながら、「うそばっかりね」そう呟いていた。

人生とは斯くも面倒だ。

少しだけ真面目な顔をしてみて、火をつけた。

地獄の業火に〜〜〜!

鉄のフライパンを焼きながら私はまた一つ覚えて、

それからまた一つ、忘れたのだ。

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by pyonjet | 2015-03-31 14:36 | [post poem]


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