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2005年 09月 29日
白い煙
「この小指は赤い糸を絡めとる為に立っているのよ」

テーブルの向こう彼女は笑う。

「あなたが煙草を吸う仕草が好きよ」

重ねて小指がらせんを描く。

「間違ってみたい」

なんて言ってしまうこの口先が

尖ったまま彼女に突き刺さって行く。

さよならを言った恋人の季節が

入り口のベルを鳴らす。

乾いたベルの音が響いて

客が二人出て行ってしまう。

灰皿に残った夏が

急いで低気圧を呼ぶ。

どこかの海上で台風に名前が付く。

僅かな時間を君に割き

愛情のレートを確かめてみる。

今日の相場は売りか買いか。

メールを一件チェックして

返事を返す。

煙草の袋のお尻を叩き

中から一本救い出す。

火をつけた君の灯りが

嘘をつかせようとしてる。

火がついた煙草が

白い煙をあげる。

秋はすっかり色づいてしまう。

by pyonjet | 2005-09-29 23:57 | [post poem]


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